レビュー

【映画レビュー】謎を解く目線で見てはいけない『三度目の殺人』

誰が犯人で最後にこんな大ドンデン返しが待ってます!みたいな王道のパターンが好きな人はとても苦手だと思います。

むしろ怒りさえ覚えてしまうかも。笑

まるでサスペンス、ミステリーの混ざった純文学を読んでいるかのようでした。(ただミステリーは最後に結末が用意されているので、そういう意味ではミステリーとは少し違うかもしれないです)

この映画のすごいところは法廷を舞台しているのに、結局真実を知ることはできず宙ぶらりんの状態で終わってしまうのですが(おそらく真実を求める映画ではないと思います)、その絶妙な曖昧さを是枝監督の見事な脚本と演出で表現しているところだと思いました。

十字架の意味や、咲江の足について、5匹のカナリアの意味、三隅と咲江の関係など、「本当のところどうなの?」という疑問が湧いても決して真実を教えてはくれないので、観客は役者の演技で判断するしかありません。

演技でいうとやはり役所広司さんは超一流で、極悪非道の悪人のように見えるときもあれば、自己犠牲的な善人にも見えます。

劇中で度々出てくる十字架も誰かを裁こうとしていたのか、本当は殺してなんかいないのか、もう本当にその時の演技が迫真過ぎるので、是枝監督も分からなくなってたんじゃないのかな?と思ってしまうほどでした。

特に重盛と三隅が面会室でガラス越しに話すシーンは鬼気迫る演技でした。

三隅の言うことは二転三転してたし前科もあるので、「またいつもの虚言癖だよ」と思ってしまうのですが、迫真の演技を見ると「あれ、三隅は本当はやってないんじゃないか?」と思わせる絶妙さは非常に見所あるポイントだったかなと思います。

是枝監督と宮崎駿監督は少し似ているなと思うところがあって、複数の解釈ができるような演出をするところだと思っています。

キャラクターの行動や物語としての意味を決して「これが真実だ!」というような表現をせず、観客にいろいろ考えてもらう。

その結果、大ファンの人が元ネタになったと思われる物語を調べ上げたりセリフの意味について深く考察して、それについてまたアレコレ言う人が出てくる。

この流れが「名作になる」ということなのかなと思ったりしました。